COVID-19の5類移行後の感染対策と面会のあり方について

日本ホスピス緩和ケア協会
2023年4月26日

 政府は、2023年5月8日をもって新型コロナウイルス感染症を感染症法上の5類感染症に変更し1)、感染対策の考え方について個人の選択を尊重し国民の自主的な努力に基づくものに変更することを示しました2)。 しかし、高齢者など重症化するリスクの高い人が多く入院する医療機関や介護施設では、職員や面会者のマスク着用を推奨するなど、感染対策の継続・強化が必要であるとしています1) 3)。 一方で、患者や家族のQOLの観点から面会の機会が重要であるとし、各医療機関に対し、可能な限り患者との対面での面会の機会を確保することを検討するよう求めています1) 4)

 さて、私達が提供する緩和ケアは、患者とその家族および介護者(以下、家族という)のQOLの向上を目的とした全人的ケアです。患者と家族の関係性や多様性に配慮しつつ、患者と家族を一つの単位としてアプローチすることが求められます5)。 そのためには、患者と家族が直接対面で接する機会の確保、さらには、患者と家族と緩和ケアスタッフの三者が共に話し合う機会を確保することが不可欠でしょう。

 日本ホスピス緩和ケア協会では、感染対策と面会の両立に向けた取り組み方について、2021年12月に「感染拡大防止の観点と患者・家族へのケアを考慮した、緩和ケア病棟での望ましい面会とケアのあり方の指針」6) を作成し、協会Webサイトで公開しました。 その中で特に重要なことは、『地域と国内の感染の状況、および、それぞれの患者がおかれた状況を考慮し、一律な感染対策を継続するのではなく、感染リスクと患者・家族のニーズの変化に応じた面会の方法と患者家族の交流のあり方の見直しを行うこと』と提起しました。 例えば、地域の感染状況7) が落ち着いている場合には、個人の感染防止対策(体調管理、密の回避=人数制限、マスク着用、手指消毒など)を遵守することで毎日の面会の機会を確保してはどうか、また患者の死期が迫っている場合には面会の条件を緩和することなど、これらが基本的な対応として考えられます。 一方で、地域や病院内の感染拡大が著しく、患者および面会者相互の感染リスクが高い場合にはオンライン面会を活用するなど、総合的に判断する必要があります。

 当協会会員施設におかれては、上記指針および厚生労働省による「医療機関におけるマスク・面会について」4) の資料等を参考としていただき、院内集団感染防止のための対策を継続しつつ、患者と家族の交流の機会をこれまでに増して確保し、患者と家族のQOLの向上に向けて取り組んでいただくようお願いいたします。


参考資料


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